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日曜日, 12月 16, 2007

壊れる町と生活習慣

町が壊れていく。「中心市街地の空洞化」という言葉を最近良く聞くようになった。
また、それがどのような現象なのかをテレビ報道の中に具体的にみかけるようになった。

採算がとれないため、商店街のシャッターがおろされたままとなり、そして、スーパーまでもが撤退してしまった町。
流通の機能を喪失してしまい、住民が食材の調達にすら困る町。
人が集う場所を失い、他人と楽しく会話することが許されない町。
高齢化した方が、1時間以上もかけてあるいて、遠くのスーパーまで買いにいかなければいけない町。
冷たい雨の夜、とうとう途中でうごけなくなってしまった高齢者。

その悲劇の現実を知っておくことと、何らかの対応を行っていく努力は、これから、生きていく上で間違いなく大切なものとなるだろう。生活習慣を考えるときに、まちとのかかわりを考えていくことも必要なのだろう。


NHK「難問解決!ご近所の底力」で、そんな町の姿を報道していた。
大型スーパーの郊外進出競争の影響で、近所にあったスーパーが次々と閉店に追い込まれている問題を取り上げる。以下に番組の取り上げていた内容を掲載する。

三重県の津駅周辺では3月、駅の中にあったスーパーが閉店した。ほかの店はすべて郊外にあるため、住民たちは往復1時間以上も歩いて買い物に行かなければならなくなり、お年寄りは日々の買い物に困っているという。県庁所在地のしかも駅前で空洞化が進んでいるというのは驚かされた。番組ではその他の地域の活動を参考にしながら、、この住民達への提言を行おうという趣旨で編集されている。

まず、無料の買い物バスを運行している堺市の高倉台団地の例だ。高齢者ら住民を、5キロ離れたスーパーまで運び、食材を調達したら、自宅前まで運んでくれるというものだ。撤退したスーパーへの陳情のすえ、出た案がバスを運行させてはどうかという案だ。しかし、バスのチャーター費用35000円/日が課題となったという。必死の金策、10000円、4000円、スーパーの団体21000円が出してくれたという。さらにスーパーでは住民ボランティアが荷物をバスまで運んでくれたり、よりサポートの輪が広がっているということだ。
おそらく他の都市でも応用できそうな策だ。広告収入として、病院、介護施設、高齢者向マンションの企業などに求めたり、スーパーの協力金などの対策が考えれらるだろう。スーパーとの交渉では、アンケート調査を行って数字を具体的にしなければ、うまく交渉できないという。

また空き店舗を利用し、地元の農家や漁師、商店主の協力でスーパーと同等の品ぞろえの復活に成功している茨城・馬渡の例も取り上げられていた。ここでは、スーパーが撤退した空家スペースに、住民が自発的に産地直売上を運営しているというものだ。近所の主婦100人のボランティアで、空家利用の事務手続きやサポートしながら運営している。
建物や冷蔵庫などは、前のスーパーの好意でただで使わせてもらったそうだ。商品は、近くの農家や猟師さんが売りたいものを持ってきて置いて根付けし売る。加工食品も商店街で自営している人たちが、提供する。場所代として売り上げの13-20%を主婦ボランティアに払い、光熱費、事務経費など維持費として使う仕組みだ。売れ残ったら、持ってきた人が持ち帰る。だから、買取する必要もなく、売れ残りを抱える必要もない。
店舗の一部は、趣味の教室を設け、いまや一日200人利用しているという。
素人がやってなんとか受け入れられることはなにか?ということを何回かアンケート調査して、会議を重ねて実現していったという。農家の人にとってみたら、最終消費者の声を直接に聞けて励みになることや、販売のチャネルが広がることが良かったという。最初は12-3人ではじめたのだが、コミュニケーションが広がり、大きな力になっていったという。

スーパー撤退の背景には「中心地市街地の空洞化」という問題がある。車社会が進んで町が郊外に広がる一方で町の中心に暮らしに必要なものがなくなっていくという現象だ。高齢化が進んでいる今、町づくりそのものをかえなければならないという動きがある。

最後に、歩いて買い物ができる街づくりを進めている青森市の例を紹介された。

市の中心部に青森駅に程近い市場には買い物を楽しむお年寄りの姿が目につく。市の補助で作られた高齢者用マンションが市場から1分の場所にあるためだ。フロントがあり、様々な相談にのってくれる。クリニックもあれば、洋服店やレストランなどのショッピングモールもある。
高齢者が歩ける範囲で日常生活がまかなえる。この便利さは受け入れられて、郊外に住んでいたお年寄りが、中心部へ異動している。
ただもうひとつの問題もある。市街地に新しく越してきた人の孤立が深い。かつてのご近所と疎遠になり、友達ができない人もいるらしい。こうした問題を解決するために、地元商店街の有志によりイベントが企画されているそうだ。新しく引っ越した人に溶け込んでいくため、コミュニティー作りを促進する。例えば商店街ツアーを企画したりしている。商店街をめぐり自慢の一品を試してみるなどの活動により、初対面の人たちのコミュニケーションを促進しているとう内容だった。

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