自分がもしそんな運命のもとにあるのなら、肉体的にもつらいだろうが、ショックで精神的に参ってしまうに違いない!。
その時目の前にいた人は、病状も精神も克服している。胃を切除して1年。
それどころか、食事のおもてなしをうけてしまったよ。ただただおそれいるだけだよ。
「固いものはだめでね・・・。刻んで柔らかく煮込むんだ。」
そこには以下のようなメニューが並んでいた。
- 柔らかく煮込んだホウレンソウのお浸し。
- 白菜、人参、じゃがいもなどの野菜が細かく刻んで煮込んで和風に味付けして、片栗粉でとろみをつけた一品。白身魚を加えている。
- 大根おろしとリンゴおろしの和えものの小皿。
- おかゆ。(多めに作って、冷蔵庫に保存して、必要な量だけとって食べるようだ)
- 小さなハンバーグ。(レトルトを電子レンジでチン。消化にわるいコゲ目はもちろんない。)
- 味噌汁。これも野菜を細かく刻んでいる。
- 大根の麹漬。(ジアスターゼという消化酵素に期待しているという。)
- さつまいもを1-2cm角程度に切ったものを、鍋に水と砂糖を入れて柔らかく煮込んだもの。
- 冷ややっこ。
- この日はなかったが、きゅうりの薄切りと人参の細切りの塩もみも定番メニューのようだ。
胃がないので胃酸で食べ物を柔らかくする工程がないままに、腸にながれていってしまう。
だから、固いものや繊維質のものをそのままたべると苦しむ。
一方繊維質は、おつうじのために是非とも必要だ。だから、細かく刻んで柔らかく煮込む。細かく刻むことで繊維質が腸にかける負荷をへらすことができる。柔らかく煮込むことで、胃酸がなくても食べ物を腸に受け入れられる。
「どうぞ。こんなものですが・・・」
と勧められて、食べると、とても自然な味で、体も素直に受け入れる。
不思議なことに、満腹感が高い。
考えてみれば、消化吸収しやすいのだから、脳にその情報が早めに行くので満腹感を早く感じるのかもしれない。
そして、その次の日の便通もいい。おどろいたが、考えてみれば、繊維質を意識して料理しているのだから、これも自然だ。
このふたつの事実は、強烈に印象深い。
その方は、間食も多いという。最初はキャンディーを間食にしていたようだが、最近はそれではあきたらなくなって、いろんなおかしを試しているようだ。胃という食べ物を消化しながら貯蔵する働きのある器官を失っているので、朝昼夜三食の食事で食べられる量は限られる。そのため、栄養が十分補給できない分を、間食でおぎなっているということなのだろう。
もうひとつ、生ものはいけないらしい。胃酸がないので殺菌できない。
いろんな工夫をしてみている方だが、心意気としてはいつも来客のおもてなしをしたいと思っているようだ。
その創意工夫へのチャレンジが、そのかたの元気の源かもしれない。
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